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いわき市小川町上小川字床屋沢の国道399号線沿いに2004年度(平成16年度)に完成した新しい専用駐車場がある。
乗用車30台余りと大型車数台を収容可能。
自然環境に配慮した無放流循環型の新型のトイレも2006年度(平成18年度)に付帯施設として完成した。
駐車場から50mほど国道を歩くと登山口の看板がある。
看板の左側の道を北へ50m程入ると左側に古い駐車場があるが現在は利用できない。
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出羽三山神社(山形県鶴岡市)の修行堂を過ぎて少しすると月山への分岐(林間コース)がある。
今回は御滝から登るので左へ進む。
御滝が近くなってくるとまた手前に分岐がある。左へ行くと沢ではなく山中を通り〆張場近くまで
行くことも出来る(尾根コース)。雨の日などに沢をエスケープするルートとして活用したい。
(御滝だけを巻いて沢コースに戻りたい場合は、ここで尾根コースの方へ進むとすぐに二股に分かれるので右へ行く)
今回は、尾根コースには入らずに沢沿いに直進する(沢コース)。30mほど進むと御滝が迎えてくれる。
滝の左手の鎖場から沢伝いの登りの始まりとなる。
登山道には要所要所に鎖や杭があるが、とても滑りやすいので注意が必要。
また、山頂の北側は国有林ですが登山でよく利用する南側は私有林となっているのでとりわけ登山マナーは厳守しましょう。
[ 参考 ] 地元の方にお話を伺ったところ、1990年代頃まで山頂から南側一帯は入会林だったが、
その後入会林としての維持が難しくなってきた為に、入会権を持っていた各個人に分割登記されたようである。
[ 追記 2010.01.20 ] 修行堂は解体撤去され更地になっています。(最新情報は要確認)
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滑り岩とよばれる露岩は滑り易く、過去に何度かこの辺りで事故が起きている難所である。
滑り岩から10分程で〆張場に到着する。ここから、尾根コース、沢コース、月山新道コースに
分かれる。尾根コースは岩峰へ最短で登れるが、急登に汗を絞られる。沢コースは緩やかで爽快な登山を
楽しめるが、沢の源頭部近くで急登が待っている。月山新道コースは1995年頃に造られた尾根伝いの新道で、
岩峰群や男体山と女体山の眺望を楽しみながら登ることができる。
4月はイワウチワやアカヤシオ、5月はシロヤシオを楽しめる。
[ 参考 ] ■雨の日に「滑り岩」を初めとする沢の露岩部分を通行される方は沢登り用
シューズや渓流タビ、ワラジの使用をお勧めします。特に下りの場合は要注意。
一時的には、登山靴に荒縄やタオルを巻いたり、軍手・軍足をかぶせたりすると滑り難くなります。
■〆張場から尾根コースを上り、月山新道を下る方が多いですが、
季節を変え、コースを変えて何度も楽しめる名山です。
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尾根コースを選択すると先ず一枚岩と呼ばれるスラブ状の岩を登るが、雨の日などは非常に滑り易いので注意が必要。
胸付き八丁と呼ばれる心臓破りの急登を登り切ると分岐があり岩場コースと一般コースに分かれる。
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岩場コースを選ぶと飛石と呼ばれる岩峰群と胎内潜り岩を通過する。
通過して少しするとまた岩場コース(左)と一般コース(右)に分かれる。
岩場コースを選択すると男体山の直下へ到達する。鎖を頼りに慎重に岩を登る。
男体山頂上からの眺めはすばらしく、いわき市街地の先には遠く太平洋を望むことが出来る。
切り立った岩の頂上に立つとまるで天狗にでもなったような気になる。
700年程昔、修験者がこの場所で修行を始めたのもうなずける。
[ 参考 ] ■男体山の岩にはロッククライミングで用いるピトンやボルトが多数打ち付けてあり痛々しい。
残置しない場合もあるので相当な数の登拳器具がこれまでに打ち込まれたと考えられる。
自然保護意識の無かった昔からロッククライミングの練習場になっていたので、これまでは仕方ないとしても、
岩の痛み具合や霊峰である二ツ箭山における御神体としての岩峰群の貴重さを考えると、
登拳金具類の新規打ち込みは禁止する方向で検討する時期に来ていると思う。
■春〜秋にかけて男体山・女体山付近の尾根でよくスズメバチを見かける。
特に夏場は攻撃性が高まるので、不用意に蜂を刺激しないようにしたり、香水や黒い服を避けるなど、気をつけたい。
(一般の防虫スプレーは効果がないので注意)
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男体山の直ぐ東隣にある女体山に登る。鎖頼りの登りとなるが男体山よりは楽に登ることができる。
岩峰の頂上だけに眺望絶佳である。
女体山の東には少彦名(すくなひこな)と足尾山があり、その姿はスケールこそ違うものの
ロッククライマーが憧れるフランスの針峰ドリュ(3754m)を連想させる。
少彦名の基部には抱岩(抱石)があり下を潜る。足尾山の基部から少々沢コースの方へ下った所には修験台があり、
二ツ箭山が修験の山であることを再認識させてくれる。二ツ箭山では年に一度(旧暦8月8日の例祭頃?)、
山中の各所で行衣(白装束)を着た修験者の方々が修行を行うようである。
[ 参考 ] ■女体山頂上には石城山岳会が1959年2月22日に設置した黄色い錆びた鉄製の「登山者調査箱」がある。
現在でも年に1度程度開けて統計をとっていると聞くが、修験者が修行する御神体の頂上に調査箱というのはいかがなものだろうか。
設置場所の変更を願う修験者や登山者、写真家も少なくないのではなかろうか。
■大寒の頃、修験台からさらに沢コースの方へ下ると、沢の源頭部で氷瀑を見ることが出来る。(沢コースを登りつめてもいい)
[ 追記 2015.05.30 ] 2015/5/17現在、女体山の調査箱は撤去されました。(読者の方からの情報)
[ 追記 2019.04.14 ] 4/12日(金)、ご夫婦で登山中のいわき市内の女性(68歳)が鎖場で滑落し、県の防災ヘリコプターで病院へ運ばれましたがその後亡くなられました。衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。
女体山・男体山の岩場は、十分な注意と慎重な行動と的確な判断が必須です。時間と体力にも余裕をもって、くれぐれも無理をしないようにしましょう。
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四等三角点の標石が置かれた二ツ箭山山頂は林の中となり眺望は得られない。三角点を確認したら月山を目指すことにする。
体力と時間に余裕のある健脚の方は、ここから猫鳴山を経由し屹兎屋山への縦走を楽しめる。
(ここから猫鳴山までは往復3時間30分前後。屹兎屋山までだと往復5時間前後。)
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月山山頂は、二ツ箭の岩峰の眺望のポイントでもある。
岩峰の奥には矢大臣山や鬼ヶ城山が望まれる。
また、条件が良ければ磐梯山や安達太良連峰が見えることもある。
下りは月山新道を利用することとする。〆張場まで下りたら往路を駐車場まで戻る。
月山新道の中間点(標高560m前後)には沢を通らずに駐車場まで行ける分岐ルートもあるので、
雨の日などのエスケープルートとして使いたい。
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二ツ箭山は原生のままの自然の宝庫で春から夏にかけては多くの花々が咲く。
特にアカヤシオの季節は花の
観賞や写真撮影を目的の多くの観光客で賑わう。
アカヤシオの花の時期が終わるとシロヤシオの時期となる。白い穂状の花が
見事なウワミズザクラは漢字では上溝桜と書き、その昔枝の上に溝を彫り亀
甲を焼く占いの燃材としたことに由来するといわれる。果実は食用となり青
いものは塩漬け(杏仁子)、黒く熟したものは果実酒にされる。初夏〜初秋
にかかては岩峰部分にコメツツジやホツツジ、秋の七草の一つとなっている
ヤマハギが花を咲かせる。この他にも多くの植物が生育しているが、盗掘さ
れその数が少なくなっている種もある。
秋は広葉樹の紅や黄に五葉松やア
セビの緑がコントラストを高め、さらに岩峰群が凛とした雰囲気をプラスし
実に見事。荘厳な雰囲気さえ漂う錦の紅葉である。
[ 参考 ] ■「カエルの詩人」として有名な草野心平は、1903年(明治36年)五人兄弟の次男として
いわき市小川町(上小川村)に生まれた。若くして家族で中国に渡ったが、太平洋戦争が終わると帰国し、
二ツ箭山にも幾度となく登ったそうである。
古郷の自然を愛し、最期まで創作活動への情熱を失わなかった詩人を想いながら二ツ箭山を登ってみてはいかがでしょうか。
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根本登山口の次によく利用されているのが桐ヶ岡林道沿いにある月山登山口。
(特に月山からの下りに多く利用されている。)
桐ヶ岡林道の起点近くの桐ヶ岡大山祗神社には「長命の水」と呼ばれる水場があり、
週末は水をくみに訪れる地元の人々で賑わう。
ここから林道を500mほど上った所が月山登山口である。
駐車スペースはないので大山祗神社前のスペースに駐車させてもらおう。
七曲がりコースと呼ばれる雑木林の中を40分程登れば、月山山頂直下で月山新道と出合う。
南東側の岩場からは太平洋(いわき七浜)の眺望がいい。
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月山登山口からさらに桐ヶ岡林道を2kmほど上った峠付近にも登山口がある。
ここからが一番手軽に山頂に登ることができる。登山口には4〜5台くらいの駐車スペースがある。
登山口には看板もなく少々分かり難いが、最短で登れるコースだけに比較的利用者も多く、
踏み跡もしっかりしている。途中、猫鳴山方面への縦走コースとの出合いを左へ進めば山頂に至る。
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桐ヶ岡林道峠付近の登山口からさらに林道を800mほど進むと、柴原林道の二ツ箭峠に猫鳴山登山口がある。
そこの対面にも登山口がある。二ツ箭山〜猫鳴山〜屹兎屋山・三森山の縦走コースとしてよく利用されている登山口である。
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茱萸平1号橋近くにも登山口があり、少彦名と女体山の直下へ通じている。車2〜3台程度の駐車スペースもある。
屹兎屋山や猫鳴山の加路川登山口と二ツ箭山との連絡にも利用される。
踏み跡はしっかりしており迷うことはないが、
利用者は比較的少なく時期によっては林床の笹藪が行く手を阻むこともある。
途中、送電線の鉄塔(広野火力線No.39)の脇を通る。送電線の保守用としても利用されているのだろうか。
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