2つの「安積山」と「山の井清水」
万葉集に詠まれた「安積山」と「山の井清水」はどこだろうか
芭蕉と曽良が安積山と山の井清水(そして花かつみ)を探し求めて訪れた場所は、安積山公園(そして安積沼)。公園内の遊歩道には「芭蕉の小径」と名前がついている。野球場やトイレの他に子供の遊具もあるので家族連れで楽しめる。「安積山 影さへ見ゆる 山の井の 浅き心を わが思はなくに」と刻まれた采女の歌碑と、「等窮が宅を出て五里計 桧皮の宿を離れてあさか山有 路より近し 此あたり沼多しか津み刈比もやゝ近うなれば いづれの草を花か津みとは
云ぞと人々に尋侍れども更知人なし沼を尋 人にとひ か津みゝと尋ありきて日は山の端にかゝりぬ」と刻まれた奥の細道の石碑がある。山の井清水は大きな駐車場の脇にある。なだらかな安積山の山頂部は松の大木と岩に覆われている。
>> 安積山公園の場所はこちら(マピオン地図)
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案内板 |
散歩コース |
奥の細道の石碑 |
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安積山山頂 |
野球場 |
山の井清水 |
万葉集に「安積山 影さへ見ゆる 山の井の 浅き心を わが思はなくに」として詠まれた「山の井」のもうひとつは、郡山市片平町の「山の井公園」にある。山の井がここだとすれば、安積山とは額取山の可能性が高いと思われる。公園内には采女神社や遊歩道、四阿、トイレ、ブランコ、池(亀岩と鶴岩)、藤棚、千枚田などがありこちらも家族連れで楽しめる。
山の井公園近くの農道からは安積山(額取山)の堂々たる山容を望める。
>> 山の井公園の場所はこちら(マピオン地図)
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安積山(額取山) |
公園入口 |
案内板 |
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山の井清水 |
采女神社 |
池(亀岩と鶴岩) |
[参考] 安積采女の由来
今からおよそ千余年前、奈良の都から葛城王という方が、地方の政情視察、監督のため、陸奥の国安積の里と呼ばれたこの地に着き、村里の状況を視察されました。里人は王の気嫌を損じてはならないと懸命にもてなしましたが、ますます機嫌が悪くなるばかり、そこで国司は美人で評判の春姫を召し出しました。春姫は心から王をもてなし、王の前に杯を捧げ「安積山 影さえ見ゆる 山の井の 浅き心を 我が思わなくに」(万葉集)の歌一首き献じました。和歌にすぐれた王はことのほか喜ばれ、春姫を帝の”采女”として召し出すよう申し渡しました。このため里を離れることになった春姫は、悲嘆にくれましたが、里人の窮状を救うためとあきらめ、王とともに都にのぼりました。ある日、猿沢の池のほとりで月見の宴が聞かれたとき、なつかしい里への思いがつのり、春姫は宴席を離れ、柳の木に衣を着せかけ、池に身を投げたように見せかけて、一路安積の里をめざし逃げ帰りました。ようやくの思いで里にたどり着いた春姫は、都からの後難を恐れた里人の冷やかなまなざしと、困惑した顔に生きる望みも失い、山の井の清水に身を投げこの世を果てたという。これが伝説のあらましである。
(山の井公園内 郡山市観光協会の看板より)
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