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阿武隈高地は花崗岩の山が多いが大滝根山周辺は例外的に石灰岩で出来ており、
西麓には8000万年以上の歳月をかけて形造られた日本有数の鍾乳洞である「あぶくま洞」
(全長600m程)があり、年間70万人の観光客で賑う。
洞内で最も大きなホールには「滝根御殿」、床上から延びる石筍(せきじゅん)が見事な「月の世界」
など形によって色々な名前が付けられている。
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あぶくま洞からさらに県道「あぶくま洞都路線」を登った所にあるカルスト台地が
仙台平。大滝根山の西側の中腹に位置する。国民保養地に指定され展望台や駐車場
、キャンプ場、バンガローなどが整備されている。近くには仙台平登山口(鬼穴登
山口)があり、大滝根山登山の基地としても利用出来る。
昭和60年に福島民報社と福島県が主催した
ふくしま緑の百景にも選定されている。
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仙台平手前にある星の村会館上のT字路まで戻り、今度はT字路を右折する。
200m程進み仙台平登山口を右に見てさらに直進し2Km程行くと、
ファミリータウンあぶくま(あぶくま高原ホテル)跡へのT字路がある。
このT字路には田村市大越町観光協会が作成した
鬼五郎渓谷案内マップがあるのでよく確認しておいた方がいい。
[ 参考 ] ■ファミリータウンあぶくまは、あぶくま高原ホテル(大越温泉健康ランド)を中核として、キャンプ場、
バーベキュー場、温泉、教会、釣り堀(鬼の宿)などがありレジャー施設として賑わいを見せ、登山後に日帰り入浴なども出来て便利だったのだが、2004年に廃業した様である。
地元の方にお話をお伺いした所、「ここは冬に氷点下10度くらいまで下がり燃料代が高いことも買い手がつかない要因のひとつ」とのことだが、
しっかりした施設なので再利用できないものだろうか。
■鬼五郎とは、田村市大越町に英雄として語り継がれる鬼五郎・播五郎兄弟の兄の名である。
高い租税を徴収する時の朝廷と対峙したが戦いに敗れ大多鬼丸(鬼丸)とともに鬼穴で自害した云われる。
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ホテル跡手前の空きスペースに車を置いて200m程歩くと大越登山口となる。
鬼五郎渓谷と呼ばれる沢沿いの登山道は、古くからの峯霊神社への参道でもあり、
随所に名前が付けられているので、先ほどのT字路いあった案内マップで確認してみるといい。
鬼五郎渓谷(大滝根川上流)はふくしま水百選(清流)に選定されている。
11月上旬、賽の河原から上は初冠雪でうっすらと雪になっていた。
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大越登山口から1時間程で山頂にある峯霊神社が見えてくる。
11月上旬、初冠雪で雪化粧をしたシロヤシオの木々や神社が青空に映え凛として美しい。
[ 参考 ] 峯霊神社付近では、5月中旬頃にトウゴクミツバツツジ、5月下旬頃にシロヤシオやミズナラ、
6月上旬頃にヤマツツジの花が見頃となるので、ぜひその時期にも訪れてほしい。
また、石楠花沢のシャクナゲは5月下旬に名残咲きだったので、5月中旬頃が見頃だろう。
※花の見頃は、気象条件や個体差により若干前後しますので、ご注意ください。
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山頂は広いがその大部分を自衛隊のレーダー基地が占める。三角点もフェンスの中である。
峯霊神社近くには発電施設があり音と煙が凄いときがある。穏かな阿武隈の山々の山容とは対照的に
ここは防衛の最前線であることが否応無しに伝わってくる。山頂の北側100m程の所には天狗岩があり
北側の眺めが良い。
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帰りは日山権現を経由して大越登山口に下ることにする。神社から南東側の登山道を進むと
間もなく開け送電線下に到着する。東側〜南側の眺めが良い。
ここは入新田登山口や高塚山からの登山道との分岐・合流点ともなっている。大越登山口へは道標を確認して仙台平・鬼穴方面へ向かう。
入新田登山口へは送電線下を南側、高塚山・ペラペラ石へは東側へ歩く。
※ここから南西側に富士山が見えてもいい標高だが、シミュレーションではちょうど八溝山の陰に隠れて見えない。
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雑木林の中を少し歩くとまた分岐となる。左が仙台平(鬼穴)登山口、右が日山権現経由大越登山口。
左の仙台平登山口へ下りて、県道を大越登山口まで歩いてもいいが、今回は右へ進む。
日山権現付近は馬の背と呼ばれる展望の岩尾根である。阿武隈の山ではめずらしいクロベ(ネズコ)やブナの大木
が残っているので大切にしたいものである。日山権現下の岩場には鎖で降りていけるようになっている。
残念だが今回は初冠雪で非常に滑るので中止した。登山道をさらに降りて屏風根と呼ばれるイタヤカエデの屏風
のような見事な根を見て、賽の河原に戻れば大越登山口は近い。
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星の村会館上のT字路を右に200m程行った所にある登山口が仙台平(鬼穴)登山口。
近くにはその昔「鬼丸」と呼ばれる豪族が坂上田村麻呂に追い詰められて自害したと云われる
「鬼穴」とよばれる洞窟があり、絶滅危惧種の日本テングコウモリが棲息している。
この鬼穴はあぶくま洞とつながっておりここから入った雨水があぶくま洞から流れ出ているそうである。
ここの登山口前には数台の駐車スペースがあるが、
仙台平キャンプ場から鬼穴近くを通って降りてきてもそれほど遠くない。
最初は杉林の中の薄暗い登山道を登り始めるが、間もなく雑木林に変わる。
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南麓の入新田浄水場付近に登山口がある、国土地理院の2万5千地図に載っている登山道は現在は踏み跡が少なく
荒れているので、近くの送電線下の保守用の道を登る。頂上近くなると仙台平登山口からのコース及び
高塚山からのコースと合流する。(大越登山口からのコースの記述を参照してください。)
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高塚山のペラペラ石手前の分岐を大滝根山方面へ進む。
ペラペラ石手前の分岐から30分ほど歩くと視界が開け送電線下にでるので、
自衛隊の敷地の南側のフェンスを回り込むようにして送電線保守用の道を暫く歩くと
入新田と仙台平(鬼穴)から登ってくる道と合流する。
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合流点から5分程登り、自衛隊の施設と柵が見えてくればもう山頂である。
山頂には坂上田村麻呂が創建したとされる「大嶽根山峯霊神社」があり、
大正時代までは女人禁制の霊峰だったことが記されている。
神社の裏手(東側)の柵越しに一等三角点を見ることができる。
なお、予め自衛隊の許可を得れば中に入れるようである。(要確認)
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入新田登山口の近くに石ポッケ入口がある。駐車場も整備されており、観光協会による案内板もある。
石ポッケという名前は山中の岩群が石仏(いしぼとけ)に見えることに由来するらしい。
コース案内図(周遊コース)があるので見所を確認しておきたい。民家近くの杉林の中を登り始める。
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杉林を抜けて斜度が緩くなると「しめじ平」。「ヨシ清水」にはコバイケイソウの小群落が美しい。
急登を登り詰めた所が「ヤレヤレ石」。ここから快適な尾根上の道に変わる。しばらく歩くとその名前の通り
タコのような見事な枝ぶりの「タコブナ」。やがて石ポッケの見事な岩峰群が樹間から間近に見えてくる。(石ポッケ入口より1時間)
「黒岩30m」の指道標により「黒岩」に立ち寄る。ここから石ポッケや南側の眺めがいい。
羽山や矢大臣山が間近に見えるほか、二ツ箭山や蓬田岳、那須連峰なども遠望できる。
黒岩から石ポッケの基部まで戻り、石ポッケの裏側(東側)の尾根を登ってゆく。
風の少ない穏やかな日は、石ポッケの頂上でお茶や食事などもいいだろう。
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石ポッケ頂上から10分くらい尾根を登ってゆくと「天狗のつぼ山」と大滝根山山頂方面の分岐となる。先ずは山頂方面へ向かう。
1mくらいの盛り土をした土手に沿って5分くらい登ると大滝根山山頂とペラペラ石(高塚山)方面の分岐点。
ここから山頂までは20分程。ドウダンツツジの時期などは時間と体力に余裕があればペラペラ石(高塚山)へ寄り道するのもいい。
大滝根山の山頂を楽しんだら、今度は先ほどの「天狗のつぼ山」方面へ進み、石ポッケ入口の駐車場へ戻ることにする。
分岐点から5分程で小さな湿地帯があり、水芭蕉が小群落を形成していた。今にも消えそうな群落ゆえ大切に見守りたい。
踏み跡や目印のリボンを参考に下りて行くと、「やぐら石」、「手洗石」、「びょうぶ石」を経て「天狗のつぼ山」に至る。
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50畳くらいありそうな「天狗のつぼ山」の一枚岩の上を歩いて降りて行く。
踏み跡や目印のリボンが見えてくるので、参考にしながら雑木林の中を下る。踏み跡が不明瞭な箇所もあるので注意が必要。
小沢を渡り杉林の中を下るとやがて空が開け、民家の近くに出る。
民家近くの川を渡り、農道を300mくらい歩くと石ポッケ入口の駐車場へ戻る。
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