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あだたらスキー場に奥岳登山口がある。無料の広い駐車場があるのでマイカー利用に便利。
岳温泉からあだたらスキー場まで歩くと1時間半〜2時間程必要。
岳温泉からあだたらスキー場(奥岳)までシャトルバスも運行(要予約)されているが本数が限られる。
スキー場のゲレンデ入口には奥岳登山口の立派な標柱が立っている。
[ 参考 ] ■岳温泉(ニコニコ共和国)の杉は温泉街のシンボルとして昭和60年に「ふくしま緑の百景」にも選定されている。
■あだたらスキー場では4月下旬〜11月上旬頃までゴンドラが運行されている。奥岳登山口から薬師岳山頂までゴンドラを利用すれば、安達太良山の山頂まで1時間30分ほど。
時間と体力に余裕ができるので検討したい。
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今回はゴンドラを利用しないで先ずは五葉松平経由で薬師岳を目指す。
奥岳登山口の大きな標柱の所からパトロール棟の方へ進む。手前には登山者カードの記入場所がある。
薬師岳を経由するコースとする為、あだたら渓谷自然遊歩道(滝見橋)への道は右に見送り直進する。
600mほど進むと今度は烏川橋方面とゲレンデ方面に分かれるので、ゲレンデ方面に進む。
赤茶けたゲレンデ内の作業道を登っていと、リフト終点付近から登山道に変わる。
奥岳登山口から50分ほどで五葉松平の露岩部。安達太良山の山頂を望める。
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五葉松平の露岩部から10分ほどで薬師岳山頂。
小広い薬師岳山頂は登山者やゴンドラ利用の観光客で賑わう。二本松市街地や遠く阿武隈の山々を見渡せる。
祠があり鐘を打つこともできる。「このうえの空がほんとの空です」と書かれた標柱も立っている。
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薬師岳から山頂までの登山道はオーバーユースによる登山者の踏圧と雨水等の影響により
洗掘と拡幅が進んで少々痛々しい箇所が増えている。
薬師岳山頂から1時間30分ほどで安達太良本峰の山頂。山頂の岩峰(乳首)は梯子や鎖をたよりに登る。
離合困難な箇所もあるので、登山客の多い日は暫く待たないと上り下り出来ないこともある。
山頂付近一帯は名物の強風が吹き荒れることが多いので注意が必要。
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山頂には紀元二千六百年記念(昭和十五年八月)と書かれた八紘一宇の大きな石碑が建っている。その基部に祠や二等三角点の標石、展望指示盤がある。
360度の眺望絶佳で、磐梯山や吾妻連峰、阿武隈の山々も見渡せる。
山頂を後にして牛ノ背と呼ばれる尾根を北進すれば、「沼の平」と呼ばれる火山特有の荒涼とした景色を見下ろせる。
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風の強い主稜線を後にして、矢筈森を左手に見ながら「くろがね小屋」を目指して下山する。
小屋が近づくと荒涼とした山頂とは対照的に高山植物が出迎えてくれる。
矢筈森と鉄山の間は岳温泉の源泉を木管で引いている。「くろがね小屋」では100%天然の温泉に入浴可能。
小屋を後にして直ぐに「銀明水」の水場。冷たくて美味しい。少々判り難くいので通りすぎないように注意。
さらに数分歩くと「金明水」と呼ばれる水場でも喉を潤すことができる。
[ 参考 ] 深田久弥もくろがね小屋に一泊している。「日本百名山」(新潮社)に記載の行程は次の通り。
一日目:スキー場 → 勢至平 → くろがね小屋 (一泊)
二日目:鉄山と矢筈ノ森の鞍部 → 馬ノ背 → 山頂 → 沼ノ平南側の火口壁ふち → 保成峠 → 岩代熱海温泉
※現在はくろがね小屋から鉄山と矢筈ノ森の鞍部へ直登する道は火山性ガスが危険なため閉鎖されている。
保成峠は母成峠、岩代熱海温泉は磐梯熱海温泉と思われる。
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勢至平から広い道(馬車道)か旧道(登山道)を通って烏川橋まで降りてくると「あだたら渓谷自然遊歩道」への道を分ける。
遊歩道を下っていくと、紅葉滝、見返橋、千丈岩、大亀の石、平滑の床、平滑の橋、昇龍の滝、昇龍の橋、魚止滝、炭窯跡、二階滝を経て滝見橋を渡り往路の登山道と合流する。
県民の人気投票で上位にランクされ、「ふくしまの遊歩道50選」に選ばれた景勝地なのでぜひ足を延ばしてみたい。
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塩沢スキー場の入口が塩沢登山口。入口手前の左側には登山者用駐車場がある。
塩沢登山口の大きな標柱や案内図が設置されている。
ここからスキー場のゲレンデを左に見ながら300mほど歩いて行くと、
林の入口に1/30と書かれた小さな里程標が掛けられている。
くろがね小屋までの行程を30に分けた目印である。現在位置を確認するのに便利。
[ 参考 ] 塩沢ルートは湯川渓谷の渓谷美を堪能できるコースで新緑や紅葉の時期がお勧め。
ただし沢沿いのコースの為、台風や大雨の影響を受けやすいので注意。
橋が流されたり土砂崩れが発生した場合などは通行止めになり易い。
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塹壕のような登山道を登り始める。所々に水たまりがあり、スノコのような踏み板が敷かれている。
馬返し分岐を右に見て直進すると間もなく金剛清水。ここから暫くはミズナラやウダイカンバの大木が目立つ。
標高1000m付近の落石注意箇所を通過すると、三階滝分岐。
どちらを進んでも屏風岩で合流するが、三階滝コースは少々判り難いので注意。
今回は三階滝を見る為に三階滝コースを選択。
一般登山道を左に見送り、分岐から右下へ沢まで下ると三階滝の一階部分。奥には二階部分が見える。
沢沿いに滝壺の近くまで行くと左手に赤布と踏み跡があるので登っていく。梯子とロープが整備されている。
梯子を上っていくとすぐに三階滝の三階部分の滝。透き通った滝壺が美しい。
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三階滝の三階部分の滝からさらに踏み跡を上っていくと屏風岩入口付近に出る。
屏風岩は沢に突き出るように細長い断崖である。ここからは滑状の斜瀑である相恋ノ滝を眺めることができる。
紅葉の時期に訪れるのもいいだろう。屏風岩から一般登山道に戻り滑落に注意が必要な難所を越えれば、八幡滝入口。
右手に30mほど歩くと八幡滝。扇状に広がる美しい斜瀑。近くまで寄れるが岩場は滑りやすいので注意。
八幡滝で小休止したら分岐まで戻り、直ぐに沢に架かる一の橋(天狗岩下ノ橋)を渡る。
[ 参考 ] 八幡滝の手前に数年前までは橋が架けられていた。
ここから中ノ滝、霧降ノ滝、僧悟台を通って笹平に至るコースだが、滑りやすく危険なため一般登山道としては廃道となった。
八幡滝に向かって右側に今でも鎖が残る。
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一の橋を渡った所にはタマガワホトトギスが群生していた。ここからコースは頻繁に沢と交錯する。
天狗岩、二の橋(天狗岩上ノ橋)、三の橋(荒龍岩下ノ橋)、四の橋(荒龍岩橋)、荒龍岩の指道標、五の橋(荒龍岩上ノ橋)と続く。五の橋からは少しの間だけ沢から離れてダケカンバ林の中を通る。
なお、雨で橋が流されて無くなっている時は沢の渡渉も必要になるので、防水性の良い靴がお勧め。
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しばらくするとまた沢と交錯する。六の橋(天狗の庭橋)である。今回は橋はなくロープのみだったが気をつければ大丈夫。
少し上ると左手に天狗の庭と呼ばれる湿地帯が広がる。指道標にはくろがね小屋まで700mとある。
少々ガレた登山道を上っていくと奥岳登山口からの広い登山道に出る。くろがね小屋も遠望できる。
少し歩くと左手に水場(銀明水)がある。”自然を大切に”と書かれた木片が置かれているだけであるが、冷たくて美味しい天然水である。
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銀明水から3分ほどでくろがね小屋に着く。通年営業の山小屋で、
食事付きの宿泊のほか温泉だけの利用も可能。飲み物やお土産品も販売している。
小屋の中に入る時は靴の泥を落とすなどマナーを守りたい。
くろがね小屋で休憩をしたら今度は峰ノ辻を目指してガレ場を登っていく。
7月下旬、クロウズコが沢山の実を付けていた。
峰ノ辻では本峰方向と矢筈森方向に分かれるので注意。
今回は本峰方向へ進んで山頂に立ち寄ってから鉄山避難小屋を目指す。
[ 追記 2013.10.29 ] 2013年10月26日、くろがね小屋の初代管理人をされた二瓶義松さん(89歳)が老衰のためお亡くなりになりました。
長年、安達太良山の自然保護や源泉管理、遭難救助などにご尽力されました。登山者を温かく見守っていただきありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
[ 追記 2023.05.10 ] くろがね小屋は建物の老朽化により建て替えの為、2023年4月1日より休業中です。
2025年度中の営業再開を予定。(最新情報は要確認)
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山頂からの眺望を楽しんだら今度は牛の背と馬の背を北進する。
鉄山の西側をトラバース気味に進み、なだらかなガレ場を下ると鉄山避難小屋。
鉄山山頂は少しトラバースしてから南へ戻るようになる。鉄山山頂からの眺望も雄大なのでお勧め。
鉄山避難小屋からは箕輪山方面へ向かう。10分ほどで笹平の僧悟台分岐に着く。
ここから東へ進んで僧悟台と見晴らし台、馬返しを経由して塩沢登山口に戻ることにする。
7月下旬、ハクサンシャクナゲとイワカガミは名残咲き状態。笹平分岐から10分ほどで水場に到着。
東鴉川の源頭である。
[ 参考 ] ここの分岐点には僧悟台コースを通行する登山者への注意看板がある。
二本松市としてはこのルートの整備は行わないので注意してほしいとの内容である。
現在は「あだたら山の会」の方々が定期的に下草刈りを行っているので、なんとかルートが維持されている状態。
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笹平分岐から45分ほどで、僧悟台の霧降滝分岐。
霧降滝方面は一般登山道としては廃道なのでロープで閉鎖されている。
霧降滝分岐からなだらかな下りを15分ほど進むと見晴らし岩。ここからは徐々にに斜度が急になり九十九折りの登山道に変わる。
湯川が近くなり沢の支流と交錯し草履沼を過ぎると間もなく湯川に架かる橋を渡る。
橋を渡って2〜3分で往路の登山道(馬返し分岐、里程標3/30地点)に出合う。笹平分岐からは1時間30分ほどである。
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大玉村玉井地区の県道380号線(「岳温泉・大玉」線)沿いに表登山口がある。県道を挟んで乗用車5台くらいの駐車スペースがある。
指道標には安達太良山頂まで7.1kmと書かれている。登山口からの取り付きは少し急斜面になっており滑りやすく、鎖も設置されている。
登山口から30分ほど登るとあだたら林道と交錯する。赤松の目立つ幅広い登山道であるが次第にガレてくる。
途中、赤松で作ったベンチが設置されていたので、小休止。
8月上旬、ヤマジノホトトギスやタマガワホトトギス、ヤマユリが見頃。
[ 参考 ] 大玉村玉井地区には県民の森「フォレストパークあだたら」やアットホームおおたま、安達太良温泉、遠藤ヶ滝があるので時間があれば立ち寄りたい。
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表登山口から1時間30分ほど登ると沢を横切る。水場にもなっており、冷たくて美味しい。
登山道を挟んでテン場のような小広いスペースが見られる。
登っていくとミズナラの目立つ登山道は次第に落葉松が目立つようになる。途中、湿地の近くを通る。
五葉松が目立つようになると仙女平の大きな標柱が立っている。
左手は開けており和尚山と前ヶ岳を望める。8月上旬、ツリガネニンジンが見頃。
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仙女平の標柱の所からペンキ印を参考にガレ場を15分ほど登ると少し広く見晴らしの良いガレ場に出る。
360度の眺望を楽しめるのでここで小休止。
北西方向には目指す本峰の山頂(乳首)、北東方向にはゴンドラの山頂駅の建物も見える。
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ガレ場から少し登った所ではツバメオモトの紺色の実を散見。
落葉松の目立つ登山道を1388mピークの東側を巻くように登っていく。枯れ沢と交錯しダケカンバ林を抜け短い急登が終わると進路は西に変わる。
奥岳コースが近付くと南側の眺望がよくなり、登山者の賑やかな声も聞こえ始める。
登山道沿いに石楠花も目立つようになると間もなく奥岳コース(仙女平分岐)に合流する。
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沼尻スキー場内の作業道の終点は大きな駐車場となっている。ここが沼尻登山口。
作業道は砂利道で勾配のきつい所もある。一般の乗用車でも問題ないが、四駆車の方が楽だろう。
手前と奥の二箇所に登山口があるが、利用が多いのは手前の登山口。
今回は手前の登山口から上り、奥の登山口に下る周回コースとする。
手前の登山口から3分ほどで白糸の滝展望台。少々滝までの距離があるが全体を眺めることが出来る。
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展望台から20分ほどで胎内岩コースへの分岐。沼尻温泉の湯元になっている硫黄川源流部へ下り、ガレ場を登り返すと胎内岩へ至る。
今回は見送り、尾根(船明神コース)を進む。振り返ると飯豊連峰や吾妻連峰を遠望できる。
7月上旬、ハクサンシャクナゲやマルバシモツケが見ごろ。
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やがて灌木帯を抜け頭上が開けてくると荒涼とした沼ノ平が視界に入ってくる。
切り立った断崖が続く障子ヶ岩の上を登ってきたことになる。硫黄川源流部を眼下に見下ろすと標高差を体感する。
胎内岩コースへの分岐を左に見送ってから1時間20分。1641mピークに到着。
道端には下草に埋もれ気味に三等三角点の標石がある。7月上旬、イソツツジが見ごろ。
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1641mピーク付近からは南東方向にはこれから目指す船明神山が見えてくる。その右手の和尚山は黒々としたなだらかな姿である。
船明神山の岩峰群の手前には乳白色の水を湛えた池がある。船明神池(通称)である。
ここから船明神山の山頂へは岩峰群の南を巻くように道が続く。
霧などで視界が悪い時には道を見失い易い所なので気を付けたい。
1641mピークから40分ほどで船明神山の山頂。砕けた古い祠に囲まれるように新しい祠が佇む。
切り立った鋭鋒の緊張感の中、360度の大パノラマを堪能できる。
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船明神山で小休止したら牛ノ背を経由して本山を目指す。石筵登山口からのコースを右に見送り赤茶けた火星の表面のようなガレ場を進むと牛ノ背。
牛ノ背を南進し本山の岩峰が近付くと灰色のザレ場に変わる。船明神山から30分で安達太良山の山頂。眺望絶佳で空を近くに感じる。
相変わらず風が強いので帽子など飛ばされないように注意したい。
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本山の山頂は相変わらず人が多いので長居には向かない。
昼食を取るために鉄山を目指す。牛ノ背と馬ノ背を経由して50分ほどで鉄山山頂。
途中、馬ノ背では眼下にくろがね小屋を遠望できる。火山性ガスにより馬ノ背〜小屋の直登ルートは廃道となっている。
7月上旬、鉄山直下の岩場ではオノエランが見ごろ。鉄山山頂の西側には月世界に例えられる沼ノ平が広がる。
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鉄山山頂で昼食をとって大休憩をしたら今度は鉄山避難小屋を目指す。5分ほどガレ場を下ると到着。
新しく気密性が高く快適な屋内である。避難小屋から真北には箕輪山方面への登山道が延びる。
今回は沼尻登山口へ下山する為、西側に延びるコースを下っていく。
10分ほどで飛行機のプロペラが飾られた石楠花の塔。塔の近くには図根点の標石がある。
石楠花の塔は昭和30年代に現場近くで墜落した自衛隊機の搭乗員の慰霊碑である。
7月上旬、コケモモの花が見ごろ。
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石楠花の塔から胎内岩を目指す。ペンキの矢印を参考に岩峰帯の中程で岩場を下っていくと胎内くぐりとなっている。
崩落しないことを祈りながら足早に這って出る。ここから硫黄川へ下るが、白っぽいザレ場になっており太陽の照り返しがまぶしい。
一帯は崩落危険個所なので、落石に気をつけながら踏み跡を見失わないように足早に進む。
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硫黄川源流部に降り立つと、沼ノ平コース(廃道)分岐。
ここから湯気が立ちのぼる硫黄川の湯元(湯の華採取場所)へ下る。
朽ち果てた廃屋は鉱山や温泉場として賑わった頃のものだろうか。
沼尻観光(株)の従業員休憩所は緊急時には避難利用が許されていると聞く。
ここから道は二手に分かれる。
障子ヶ岩コースへの分岐は従業員休憩所から硫黄川に架かる木道を渡ってガレ場を上っていく。
指道標が判りにくいので注意。今回は送湯管沿いの登山道(作業道)を下ることとする。
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作業道は崩落の為にしばらく通行禁止になっていた。
現在でも崩落箇所は仮復旧の状態なのでマナーを守って慎重に通過したい。
湯の華採取所から30分で索道施設(小屋)の先に沼尻登山口が見えてくる。
途中、白糸の滝の眺めがいい。
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