福島の山々 >> 北西部 >> 飯谷山 (783m)  
日本三大虚空蔵尊の一つである福満虚空蔵尊圓蔵寺で有名な柳津町のシ
ンボル的存在の名峰。柳津町と西会津町の境界に位置する。町の境界線
を形造る南北に延びる尾根を持つ雄大な山容が見事。東麓の野老沢地区
にある飯谷神社の御神体にもなっている雨乞いの山でもある。西会津町
に属する山体の西側は1611年に発生した慶長会津地震で大規模に崩
落し大杉山村が埋没し白沼が誕生した。登山道の展望ポイントからは悠
然と流れる只見川と柳津中心部の街並みを眺められる。

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飯谷山
うつくしま百名山会津百名山

    交通:JR只見線「会津柳津」駅から、タクシー利用
マイカー:登山口付近の駐車スペースを利用
所要時間:野老沢登山口[上](10分)うがい場(30分)飯谷神社奥ノ院(30分)山頂
他登山口:小杉山登山口
イベント:山開きは毎年5月第2日曜日(日程は変更になる場合もあります)
     ※問い合わせは、柳津町B&G海洋センター(0241-42-2246)
     ※福島県内の山開き日程の一覧

野老沢コース ( 登山口標高:約450m、所要時間:山頂まで1時間10分 )

柳津町の中心部に道の駅「会津柳津」(観光物産館「清柳苑」)と斎藤清美術館が建っているので登山前に立ち寄る。 憩の館「ほっとinやないづ」も隣り合わせ。裏手には水を湛えた只見川が流れている。 遊歩道が福満虚空蔵尊・圓蔵寺まで続くので時間があれば散策したいところ。これから登る予定の飯谷山も見える。 買い物やトイレなどを済ませたら登山口のある野老沢(ところざわ)地区を目指す。 国道252号線を離れ、只見川に架かる飯谷大橋を渡り、県道343号線に入る。途中、柳津発電所のダムを左手に遠望する。 飯谷大橋を渡らずに瑞光寺橋の右岸付近から県道343号線を南進してもいいだろう。

斎藤清美術館 観光物産館・清柳苑 瑞光寺橋と圓蔵寺
斎藤清美術館 観光物産館・清柳苑 瑞光寺橋と圓蔵寺
只見川と飯谷山 飯谷大橋 柳津発電所
只見川と飯谷山 飯谷大橋 柳津発電所


飯谷大橋を渡って200mほど進んだら右折して県道343号線(新道)を北進する。 600mほど進むと左手に林道「野老沢」線の入口がある。美しい棚田が広がる。ここから舗装された林道を2kmほど進み423mピークを巻いた付近が野老沢登山口[上]。 乗用車4〜5台くらいの駐車スペースがある。飯谷山神社御神田跡、休憩の松と続き、沢へ少し下っていく。 登山道沿いにはノギランを散見。8月下旬、花の終わりに近かった。

[ 参考 ] ■東麓にある飯谷神社のすぐ下が野老沢登山口[下]。従来の野老沢登山口である。山頂まで1時間40分。体力と時間に余裕のある場合に利用したい。 マイカー2〜3台程度の駐車スペースがあるが、混雑時は野老沢会館がお勧め。4月下旬〜5月上旬頃にはカタクリやショウジョウバカマの花が見頃と聞くのでその頃に訪れてみたい。 ■野老沢登山口[上]は林道「野老沢」線の終点でもある。ここからさらに西へ延びる舗装された林道は平成17年から4年の歳月をかけて整備(一部中止)された芝倉集落への林道「長窪芝倉」線。 さらに芝倉集落からは平成20年に竣工した林道「青坂芝倉」線が続く。国土地理院の地図には未反映(最新情報は要確認)なので注意。

林道「野老沢」線の入口 舗装された林道 野老沢登山口[上]
林道「野老沢」線の入口 舗装された林道 野老沢登山口[上]
飯谷神社御神田跡 休憩の松 ノギラン
飯谷神社御神田跡 休憩の松 ノギラン


登山口から10分ほどで沢(うがい場)と交錯する。8月下旬、ドロボウ(キンミズヒキ)が目立ち衣服に実が付いて離れない。 沢の所から暫くは薄暗い杉林の中の登山となるが、尾根上の歩きに変わると間もなくブナが目立つようになる。 大木のブナも散見するが、大部分は若いブナで二次林であることがわかる。かつては炭焼きも盛んに行われていたようである。 沢から30分ほど登ると飯谷神社の旧本殿跡(現在は奥ノ院)。杉林や祠が残る。

[ 参考 ] ■所々熊よけの赤い一斗缶が置かれている。飯谷山周辺には熊が生息しているので、5〜6回強く叩くことをお勧めしたい。 ■旧本殿跡にあった飯谷神社の本殿は、昭和55年(1980年)に焼失し現在の場所に移設された。

うがい場(板沢川源頭) ドロボウ(キンミズヒキ) 杉林
うがい場(板沢川源頭) ドロボウ(キンミズヒキ) 杉林
ブナ林 飯谷神社奥ノ院(旧本殿跡) 石祠
ブナ林 飯谷神社奥ノ院(旧本殿跡) 石祠


旧本殿跡を抜けて少し高度を稼ぐと尾根上の快適なブナの二次林。登山道沿いにはイワウチワが随分と目立つ。 見頃は5月前半頃だろうか。標高670m付近では南東側が開け大戸岳や小野岳を望める。 標高700m付近には展望ポイントがあり、案内板が立っている。 木々が少々邪魔をするが、東に磐梯山や会津盆地を望める。

ブナの二次林 イワウチワ 大戸岳と小野岳
ブナの二次林 イワウチワ 大戸岳と小野岳
展望ポイント 展望案内板 展望ポイント(振り返って)
展望ポイント 展望案内板 展望ポイント(振り返って)


旧本殿跡から30分ほどで山頂。草付の斜面になっている。 西側が切れ落ちておりロープが張られている。 三角点の標石は見当たらず、斜めになった境界標石があるのみ。 西側に御神楽岳や日本平山を遠望。白沼を見下ろす。 北側には飯豊連峰、東側には磐梯山と会津盆地を眺められる。

[ 参考 ] 『会津百名山ガイダンス』によれば、慶長16年(1611年)に発生した会津慶長地震(慶長会津地震)で 飯谷山の西側が崩落して大杉山村を埋没させ大きな被害を出した。その時に誕生した沼が白沼。 優美な山容の柳津町側とそれとは対照的に白沼があり険峻な山容をした西会津町側は、磐梯山の表磐梯と裏磐梯を連想させる。

山頂 標柱 境界標石
山頂 標柱 境界標石
西(御神楽岳、白沼) 北(飯豊連峰) 東(磐梯山、会津盆地)
西(御神楽岳、白沼) 北(飯豊連峰) 東(磐梯山、会津盆地)


山頂から10mほど南へ下ると石祠があり、登山道は二手に分かれる。 右は小杉山コース、左は野老沢コースの下山道である。今回は、周回コースとする為に下山道へ進む。 心地いいブナの二次林の南東尾根を下っていく。赤ペンキや「下山道」の看板を散見する。 8月下旬ホツツジの花が見頃。標高670m付近では東側が開け柳津町の中心部を遠望できる。 斜面の崩落による落石注意箇所を過ぎれば作業道に出合う。

小杉山コース分岐 石祠(振り返って) 指道標
小杉山コース分岐 石祠(振り返って) 指道標
下山道の看板 ホツツジ 展望ポイント(標高670m付近)
下山道の看板 ホツツジ 展望ポイント(標高670m)
柳津の中心部を望む 落石注意箇所を通過 作業道出合い
柳津の中心部を望む 落石注意箇所を通過 作業道出合い


作業道を右へ行けば清水頭ノ滝。直ぐ下は舗装された林道になっており木段があるが損壊(最新情報は要確認)して使用できないので、 指道標に従って作業道を左へ200mほど行けば舗装された林道に出合う(清水頭口)。ここから東へ林道を歩くと5分ほどで「とこざ公園」。 東屋と駐車場がある。周回コースなのでここに駐車してもよかったかもしれない。8月下旬、東屋の下側にあるソバ畑の白い花が見頃。遠くには明神ヶ岳と博士山を遠望。 とこざ公園から5分ほどで往路の登山口(野老沢登山口[上])に戻る。

[ 参考 ] 損壊している木段の所から舗装された林道を挟んで登山道(木段)が麓の野老沢集落へ延びている。 少し藪状態だったが、時間と体力に余裕のある方は利用を検討したい。

指道標 損壊している木段(要確認) 舗装された林道に出合う
指道標 損壊している木段(要確認) 舗装された林道に出合う
林道出合い(振り返って) とこざ公園(東屋と駐車場) ソバ畑、明神ヶ岳、博士山
林道出合い(振り返って) とこざ公園(東屋と駐車場) ソバ畑、明神ヶ岳、博士山

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小杉山コース ( 登山口標高:約550m、所要時間:山頂まで40分 )


西会津町側にも登山口がある。 飯谷山西麓の小杉山集落から林道「小杉山」線を上っていくと道沿いに登山口がある。 飯谷山と書かれた大きな看板が目印。杉林の中を5分ほど登っていくと桐の植林地(桐林)となっており左手(北側)が開ける。 会津地方は会津桐を使った桐製品が有名だが、ここにも桐の木が多く見られる。 しかし少々枯れ気味の木もあり手入れが十分されていないように思われる。高品質を誇る会津桐の将来が不安。 8月下旬、ゲンノショウコの花が見頃。 標高630m地点には大きな指道標があり、ここから次第に斜度が増してくる。

小杉山登山口 杉林 北側が開ける(桐林)
小杉山登山口 杉林 北側が開ける(桐林)
桐の樹皮 ゲンノショウコ 大きな指道標(標高630m)
桐の樹皮 ゲンノショウコ 大きな指道標(標高630m)


ブナの目立つ九十九折りの急登を終えると南北に延びる主尾根に出る。 「山頂まで200m(緩登)」の指道標が置かれており、山頂部が見えてくる。 8月下旬、登山道沿いにはクズやヤマジノホトトギスの花が目立つ。 快適な尾根道を10分ほど登ると、山頂直下で野老沢コースの下山道と出合う。

九十九折りの急登 山頂部が見えてくる 山頂まで200mの指道標
九十九折りの急登 山頂部が見えてくる 山頂まで200mの指道標
クズ 石祠(野老沢コース出合い) 山頂
クズ 石祠(野老沢コース出合い) 山頂

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