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悠々と流れる只見川に沿って走る国道252号線を本名ダムまで行くと、
その堰堤脇から林道「本名室谷」線が延びる。修復工事などにより通行止めとなっていることが多いので、
通行止の期間や区間など看板に記載されている内容をよく確認しておこう。林道は相変わらず舗装率は低いが路面状況は以前よりかなり良くなった気がする。
途中、御神楽岳の登山口となる林道「三条線」を右に見て左方向(峰越林道)へ進む。
[ 参考 ] 林道「本名室谷」線の状況について事前に金山町または
新潟県阿賀町に問い合わせた方が無難。
但し、工事が行われている場合の車両の通行可否については現場判断もあるので気をつけたい。
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朝から霧に覆われていたが次第に好天になってきた。10月下旬、日尊倉橋から眺める霧来沢の清流と紅葉が美しい。
ここから林道は暫くは大石田沢の左岸沿いとなる。2kmくらい進むと大石田沢を離れ北側へ進路を大きく変え高度を上げてゆくが、
小笠倉山の西肩近くで車両は全面通行止めとなっていた。塩ノ倉峠まではまだ6km余りの距離がある。
2004年(平成16年)の新潟県集中豪雨時にこの林道も大きな被害を受けた。その修復工事だろうか。
通行止の所に車を駐車してひたすら砂利道を歩く。高度を上げると南東側の眺めが良くなる。
林道は日差しが照りつけ10月下旬だというのに暑いが、林道脇に時折見られるブナの大木の黄葉が青空に映え疲れを忘れるくらい見事であった。
[ 参考 ] 林道歩きの間、随分オフロードバイクとすれ違った。この林道は本名〜室谷まで40kmと距離が長く舗装率が低い為、
オフロードバイクのコースとして人気がある。福島県や新潟県以外のナンバーもよく見かける。
コーナーをかなりのスピードで走行する人もいるので気をつけたい。
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高度を幾分上げると峻険なスラブを擁する御神楽岳と本名御神楽、前ヶ岳が見えてくる。幽幽とした山景にしばし見とれる。
蒲生岳かと見間違う笹倉山の三角形も中々いい。登山道沿いに咲くノコンギクやムラサキシキブの紫色をした実が美しい。
虫エイのないドングリのような綺麗な形状のマタタビの甘辛い刺激的な味が疲労回復にはいい。車で塩ノ倉峠まで行っては
見過ごしていたことだろう。歩く甲斐があるというものである。
[ 参考 ] 焼酎につけこんでマタタビ酒を作る場合は、虫エイの入ったマタタビがいいようである。
味や効能に違いがあるのだろうか。何とも不思議な話である。
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通行止の地点から歩いて2時間ほどで貉ヶ森山と日尊の倉山の鞍部に着いた。ここが会越県境の塩ノ倉峠である。
通行止がなければ標高1130mのこの峠まで本名ダムの所から車で30分足らずだろう。
この峠から北側の尾根を登ると日尊の倉山の山頂に至るのでついでに登ろうと思ったが予定時刻を過ぎてしまった。日尊の倉山はまたの機会にとっておこう。
新潟県側も通行止の看板があったが、新潟や長岡ナンバーの車やオフロードバイクが何台も上ってきていた。
新潟県側は修復工事が完了したか休工日なのだろう。福島県側の比較的大きな工事もそろそろ終わりではないだろうか(要確認)。
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峠から新潟県側への林道を10mくらい進んだ所に登山口(踏み跡)がある。登り始めて間もなく東北電力の雨量観測計の近くを通る。
この付近はブナの大木が見事である。
尾根上の道を着実に高度を稼ぐが、踏み跡は見失い易く、背丈ほどのネマガリタケの中、少々藪こぎを強いられる所もあるので気をつけながら登ろう。
なお、踏み跡を見失ったとしても尾根上の直登なので道に迷うことはないだろう。念のために地図とコンパスは忘れずに持ちたい。
ある程度高度を上げると開けた所があり貉ヶ森山の山頂を仰ぎみることができる。
[ 参考 ] 幹回りが3m以上あるような大きなブナは、
「太郎ブナ」とか「ブナ太郎」などといった名前を付けられることが多い。
貉ヶ森山周辺はそんな「太郎級」のブナが多く残っていることに驚かされる。
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灌木の藪こぎに少々疲れてきた頃、1300mピークに到着。貉ヶ森山は双耳峰となっており北側のピークがここである。
ここからの展望は灌木の背丈が低い南〜西側がいい。浅草岳や守門岳がよく見える。
条件がよければ、妙高山や斑尾山、日本海が見えるかもしれない。一等三角点のある貉ヶ森山の山頂まではあと10分程度。
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1300mピークで小休止した後は険峻な尾根の東側に滑落しないように注意しながら進む。稜線上にはイワウチワも見られる。
まだまだ手強い灌木を漕いで進むと崩落個所があり東側が開ける。御神楽岳や本名御神楽岳の眺めがいい。
2時間くらい歩いてきた林道もよく見える。大石田沢の深く長いスケール感も十分感じられる。
小休止したら灌木の中を3分程で山頂。一等三角点が設置されている。
[ 参考 ] 福島県に所在がある一等三角点は25箇所、県境も含めると31箇所ある。
(福島県の一等三角点一覧はこちら)
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灌木に囲まれた山頂は狭いが灌木の背丈がそれほど高くないので、足元の高い所を探して立てばなんとか展望を得られる。
日尊ノ倉山や御神楽岳の展望がいい。
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帰りは上ってきた道をそのまま戻る。ブナの黄葉が美しい。登山道は踏み跡は所々不明瞭なところがあるが全般的にはしっかりしている。
ネマガリタケと灌木の藪こぎは少々覚悟しなければならいが、それがまたこの山の楽しみでもあろう。
山頂から1時間足らずで登山口の塩ノ倉峠に戻ったが、峠から車を駐車した所まで2時間の林道歩きが長かった。
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