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近くには景勝地として知られる夏井川渓谷があり、四季を通じて渓谷
美を堪能できる。付近にはキャンプ場や宿泊施設もあり、特に秋は紅
葉狩りや写真撮影、芋煮会などの人々で賑わう、いわき市の観光のメッ
カ。最寄駅は、無人駅の磐越東線「江田駅」。4月のアカヤシオの花
が満開の時期や11月の紅葉の時期は、一部の区間で徐行運転される。
江田駅近くにも駐車場とトイレがある。
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先ほどの駐車場とトイレの近くに登山口への分岐がある。
磐越東線の高架下を通り500m程歩くと登山口。
ここにも駐車場があるが、紅葉の時期の週末などは満車状態でマイカーが入れないことがある。
その場合は先ほどの江田駅前の駐車場を利用することになる。
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背戸峨廊の遊歩道に入ると野鳥の案内板がある。ホトトギスの声は良く耳にするが他にも
随分多くの野鳥が生息しているものである。
野鳥板から先へ下りていくとすぐに、爽快な沢沿いの歩きとなる。
屏風岩、屏風谷、廻り淵を過ぎると東屋がある。
※背戸峨廊は人気の観光コースですが毎年のように事故が発生しており、
登山コースも台風や大雨、地震などの影響を受けやすい為、十分注意して入渓してください。
屏風岩 : 屏風状の垂直岩(見過ごし易い)
屏風谷 : 幽玄な雰囲気漂う屏風状の垂直岩に挟まれたゴルジュ
廻り淵 : 魚の遡上もこの淵の下までとか
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しばらく沢伝いに登っていくと、出会う滝が「トッカケの滝」。滝や淵の名前も草野心平が命名したそうである。
鎖頼りに滝壺まで近づき、落差のある滝の左側(右岸)の梯子を登っていく。
梯子を登り終えた所には「鷹の見降ろし」と呼ばれるモミの大木がある。
※時間の無い場合や軽装の場合、悪天候の場合はこの辺りまでが目安となります。
トッカケの滝: トッカケは「最初」の意味、高さもあり見ていて爽快
鷹の見降ろし: 滝壷にやってくる水鳥を捕まえる為に鷹が止まっていたという
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沢伝いにさらに登っていくと「釜ヶ淵」。橋を渡り鎖を頼りに靴を濡らさぬようにへつりながら慎重に進む。
左手の奥まった所には白糸を垂らしたような繊細な「三段すだれ(不動滝)」を垣間見る。
橋を二つ渡れば、優雅な雰囲気の「片鞍滝」。滝の右側(左岸)の橋を登れば雰囲気は打って変わって滑床が美しい。
釜ヶ淵 : 大きな丸い鉄釜のような深く黒々とした滝壷
三段すだれ : 三段になったすだれのような繊細な滝
片鞍滝 : 鞍の片側に似ている扇状の美しく優雅な滝
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「曲がり龍」の直下には龍が出入りする門のような存在の「龍門滝」。
滝の左側(右岸)の滑状の岩を鎖を頼りに登ったところが「曲がり龍」。
橋を渡れば豊富な水量でまばゆいばかりに光輝く「黄金とろかし」。
龍門滝 : 一枚岩の表面をなめる様に流れ落ちる
曲がり龍 : 細長くうねった形状はまさに龍
黄金とろかし: 黄金を溶かしたように光輝く
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「黄金とろかし」から梯子を登った所が「黒鍋の淵」。その先には「竜の寝床」、「心字の滝」、「鹿の子滝」、「見返り滝」、「三連の滝」。
1986年に福島県が選定した「ふくしまの水30選」
(ふるさとの清流)にも選ばれている澄んだ清流が続く。生活排水で汚れた景勝地が多くなっている中、貴重な存在である。
「三連の滝」からは沢を離れ静寂の尾根伝いに、駐車場へ戻る。
龍の寝床 : 龍が棲むのにふさわしい黒々とした滝壺
心字の滝 : 滑床の幾筋かの流れが心の字にみえる
※この辺は特に滑り易いので注意。雪や氷が張っている時期などは無理は禁物。
鹿の子滝 : 鹿の子模様の流れ
見返り滝 : 振り返って見ないとよく見えない
三連の滝 : 背戸峨廊で最後の滝(左岸から見ると奥に小滝が二連)
※三連は「さんれん」ではなく未練とのごろあわせで「みれん」と読む。
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山道を経由して駐車場に戻るには、「三連の滝」手前の左側(右岸)の道を登る。
5分程だろうか、急登に少し息が切れてきた頃、ベンチがあるので休憩する。
ここには草野心平が猿しか行かないだろうと言ったという「猿峨廊」への分岐(踏み跡)があるので
体力と時間に余裕がある方は寄ってみてはいかがだろう。
踏み跡を慎重に下りていくと梢の間から滝を垣間見ることが出来る。沢まで下りると滑床が上流へ続いていた。
「三連の滝」の滝頭へ続く下流方向は滝がありゴルジュの様相。
(※過去に何度か滑落事故が起きている。危険な箇所もあるのでくれぐれも無理はしないように。滝壺近くまで降りるには安全確保をした方が無難。)
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猿峨廊分岐に戻り、また急登を登る。
途中で、「早回りコース(40分)」と「ゆっくりコース(60分)」に分かれる。
今回は早回りコースを選択して登山口へ戻ることにする。指道標には40分とあるが1時間と思った方がいいだろう。
ゆっくりコースでは途中、赤松林の中から時折東側に二ツ箭山を望むことができる。
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6月中旬、沢沿いにはミヤマカラマツが、滝の飛沫を浴びる所にはウワバミソウが目立った。
帰り道、岩の多い尾根ではイワウチワの群落があったが花は終わっていた。
薄暗い杉林ではギンリョウソウがひっそりと花を咲かせていた。
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