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国道49号線、西会津町上野尻地区に登山口がある。
国道を挟んで向い側には廃業したドライブイン「すがり」がある。
登山口には案内板があり、上野尻地区の住民の皆さんから愛されてきた里山であることが感じられる。
登山口から200mほど登ると指道標があるので右に入る。見過ごし易いので注意しよう。
杉林の中の登山道を10分ほど登ると峠からの道と出合う。
[ 参考 ] ■マイカーの場合は登山口から林道を、登山口分岐または峠付近まで入れるが、
伐採作業等の邪魔にならないように駐車したい。
林道途中からのコースはやがて峠付近からのコースと合流するので、急ぎの場合は峠まで車で登ると数分程度だが時間を省略できる。
■明治維新からまだ間もない1878年(明治11年)6月29日、
英国の女性旅行家イザベラ・バードが野尻を訪れ、車峠の宿で二泊している。
6月から9月までの3ヶ月をかけて 日光から会津を通り新潟に抜け山形・秋田・青森・北海道を旅し、紀行文『 Unbeaten Tracks in Japan 』(1885年)と題して出版した。
その紀行文では野尻集落についても記載されている。イザベラ・バードも須刈岳のこんもりした山容を見たかもしれない。
ご興味のある方は、「イザベラ・バード 『日本奥地紀行』 福島県会津地方での行程」をご覧願いたい。
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開墾畑があった峠(林道終点)からの登山道(作業道)に出合ったら右へ。
オシダの目立つ湿った杉林の中のぬかるんだ道を歩くので、防水性のいい靴がお勧め。
4月下旬、ミズバショウやカタクリ、ツノハシバミ、エンレイソウが見頃。
踏み跡が少々不明瞭な箇所もあるが、指道標があるので気を付けていれば大丈夫。
小沢を渡ると尾根へ取り付く。
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尾根の取付き付近には「須刈岳」と書かれた柱標がある。ここからは進行方向を90度変えて急登となり、着実に高度を稼いで行く。
ミズナラやブナの二次林の多い登山道は落ち葉が多くクッション性は良いが、少々滑りやすい。
4月下旬、オオバクロモジの黄色い花や、アオキの赤い花が目立つ。
やがて緩やかな登りに変わると鞍部。ここで左から稲荷神社からのコースを合わせる。
須刈岳稲荷登山道と書かれた黄色い柱標がある。
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鞍部から15分ほどで小広い山頂。標柱や四等三角点、石祠がある。
赤松や杉の大木も数本あり信仰の山に相応しい。
山頂にはニホンザルが三匹。タムシバの白い花を美味しそうに夢中になって食べている。
タムシバの白い花は甘い良い香りがする。何とも上品な食事である。
展望は北側に限られる。4月下旬、悠々と流れる阿賀川と上野尻、下野尻の街並みの先に残雪の飯豊連峰が純白に輝き美しい。
その手前には三角形に裾野を広げた黒々とした高陽山が座している。
[ 参考 ] ■山頂にある四等三角点の標石(金属標)はまだ新しい。
2001年(平成13年)に新しく選定された三角点である。標高438.36m、
緯度37°36′51.1011、経度139°37′12.1465と測量(世界測地系)された。
地図上の標高も440mから438.4mに変更される。
■山頂には「第一回須刈岳山開き登山記念」の標柱が建っている。
須刈岳の山開きは上野尻地区の住民の方々の努力により、1997年(平成9年)に第1回が行われ、
2006年(平成18年)の第10回まで続いた。
[ 追記 ] 2006年で中止になっていた山開きイベントが、
2010年(第11回)より上野尻地区の有志の方々の努力により再開されている。
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東麓の稲荷神社からも参道が通じている。
上野尻地区の磐越西線と並行して走る農道沿いに稲荷神社の鳥居がある。
「須刈岳稲荷登山道入口」の柱標が建っている。
鳥居の近くには乗用車1〜2台程度の駐車スペースがあるが、農作業の邪魔にならないように気をつけたい。
薄暗い杉林の中を登り始める。小沢を渡り二の鳥居を潜ると長い石段が待っている。
神聖な雰囲気を感じながら石段を登り切ると稲荷神社。神社に向って左手から尾根に取り付く。
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登山道(参道)は登る人が少ないのか少々荒れている。
赤い指道標が所々あるが尾根の直登なので迷う心配はない。
滑りやすい急坂を一気に登れば、353mピーク。
ここから少し下った所の鞍部で上野尻登山口からのコースに出合う。
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