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JR磐越西線「荻野」駅から県道16号線を西会津町方向へ進み、
阿賀川に架かる峯橋を渡ると看板がある。看板に従って漆窪地区へ入る。
漆窪集会所が左手に見えてくる。混雑期はここの駐車場を利用できる。
漆窪地区の中心部を抜け、漆窪林道を少し入ると登山口が見えてくる。
(漆窪集会所から歩いて10分程度)
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登山口から10分ほどで沢沿いに設けられた「力水」と呼ばれる水場。
4月中旬、道端にはエンレイソウ、カタクリ、キクザキイチゲなど春を告げる花々がまとまって見られる。
水場から5分ほど登るとカタクリの群生地。振り向けば北側に飯森山の白しく輝く残雪が美しい。
林道と二度ほど出合いながら所々階段の整備された急登に汗をかく。
[ 参考 ] 下向きがちなカタクリをしゃがんでのぞき込むと、「蜜標」という桜の形をした模様が見える。
虫に密の場所を教えるマークだそうだ。カタクリの群落の中に桜の木より一足早い「満開の桜」が隠れていると考えると面白い。
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漆窪登山口から山頂に至る前に2つピークがある。最初のピークは第1見晴台と呼ばれている。
眺望も大変よく、北には飯豊連峰、北東には吾妻連峰、東側には磐梯山を望める。
4月中旬、タムシバやクロモジの花が目立つ痩せ尾根を第2見晴台(大夫岳)を目指して南進する。
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第2見晴台(大夫岳)の山頂には石の祠がある。こちらも第1見晴台同様に南側を除く270度の眺望を楽しめる。
4月は残雪の飯豊連峰が純白に輝き、その美しさに暫し見とれる。
新潟県下越地方の棒掛山、蒜場山(いずれも越後百山)もまだ冠雪している。
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第2見晴台から山頂を目指す。暫く行くと弘法清水の指道標がある。
ヤマザクラやショウジョウバカマの咲く緩やかな坂道を200mほど下った所に大木があり、
その根元から甘露の清水が流れ出ている。自然の不思議さと面白さを感じる。
流れが少ないので夏場はあてにしない方がいいかもしれない。
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弘法清水で喉を潤した後、登山道に戻り暫くすると軽沢登山口への分岐。
軽沢登山口への道を右に見て直進すれば、3分ほどで小広い山頂に到着する。
十数年ぶりに立つ山頂は灌木などが少し切り払われ、展望がよくなっている。
山頂直下にはブルーシートで囲われた簡易トイレもある。
木版に描かれた展望案内図は少し朽ちて地面に落ちていた。代わりに白い鉄板製の展望図が設置されている。
白い鉄板が少々雰囲気にそぐわないのが残念。
[ 参考 ] 山頂には山上憶良の「秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」
という和歌の碑がある。七種の花とは萩・ススキ・葛・撫子・オミナエシ・藤袴・桔梗の
ことらしいが、秋にはこの辺りで鑑賞出来るのかもしれない。
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一等三角点の山頂からは南側を除き270度の眺望が得られる。
飯豊連峰や吾妻連峰、磐梯山、阿武隈の山々、那須連峰などの眺めが素晴らしい。
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帰路は来た道をそのまま戻るのもいいが、今回は南麓の軽沢登山口へ降り、
漆窪林道経由で漆窪登山口へ戻る周回コースとする。(但し、時間と体力に余裕がある時に限る)
ナラの木を中心とした雑木林を下る。赤松の大木には「鳥屋山山頂800m」の指道標が掛けてある。
少し下ると鳥屋清水という清水があるので、ここで小休止。
清水は水量が少ないので、少雨時には枯れることがあるかもしれない。あまりあてにしない方が無難。
杉林の脇を通り登山口が近づくと、軽トラなら苦もなく通れそうな九十九折りの幅広い道となる。
舗装された道路に合流する所が、軽沢登山口。
看板は少々痛みが見られるが、十年以上前に登った時と同じ看板のようである。
[ 参考 ] 最初から軽沢登山口へ行くには、会津坂下ICまたは西会津ICで降りて国道49号線を走り別茶屋地区を目指す。
別茶屋地区に案内坂があるので、案内の通り県道341号線に入る。200mくらいで軽沢登山口。
※カタクリの群落は軽沢登山口ではなく、漆窪登山口から15分くらいの地点となります。
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軽沢登山口から県道341号線を北へ進む。
磐越道の束松トンネルを頭上に見ながら高架下を通ると、県道341号線は終わり漆窪林道が続く。
道端にイヌガヤとネコノメソウを見かけた。やがて高度を上げていくと砂利道となる。
[ 参考 ] 旧越後街道(会津街道)が通っていた束松峠も近い。
江戸時代にはその名のとおり束ねられたような樹形が大変見事な松があったという。茶屋跡と一里塚が往時の面影を残す。
明治2年、新政府から民政官として会津に派遣されてきた旧越前藩士を旧会津藩士が斬殺した「束松事件」の現場でもある。
体力と時間に余裕があれば、立ち寄ってみるのもいいだろう。
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西側に鳥屋山、東側に沢入沢を見ながら砂利道を北進する。今回のように
漆窪登山口から入り軽沢登山口に出た時には、巻き道の様にこの漆窪林道を利用して戻るのもいい。
なお、残雪(5月上旬頃まで)や土砂崩れの為、車輌は通行止めとなる場合があるので注意。
道端にはニリンソウやキクザキイチゲが随分目立った。
軽沢登山口から1時間30分ほどで漆窪登山口に戻る。
[ 参考 ] 薄い青色のキクザキイチゲが目に入ったので写真を撮って立ち上がると、ちょうど熊が下(沢入沢)から林道にはい上がって来たところ。
距離にして10mくらいの近さ。山菜や木の若芽を探して食べていたのだろうか。
目と目が合ったら林道の法面をものすごい速さで駆け上がった。
熊の写真を撮ろうとマクロモードから通常モードに戻している数秒の間に山中に消えてしまい、残ながら写真撮影はできなかった。
体長1m余りの少しスリムな体型だが、吸い込まれそうな黒い毛が印象に残った。出合ったときのイメージを合成画像とした。
※もう2〜3メートル近かったら危なかったかもしれない。熊が去った後、熊に出合う直前に外した熊避けの鈴を再度付けたことは言うまでもない。
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