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悠々と流れる只見川の流れに沿って走る国道252号線の本名駅近くに本名ダムの堰堤が
ある。その堰堤から霧来沢に沿って林道「本名室谷線」が延びる。この林道を進み、御神楽岳の案内
板に従って三条集落跡を通る林道「三条線」に入り、暫くすると登山口となる。林道は荒
れた箇所もあり普通乗用車だと少々辛い。
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登山口からは霧来沢沿いの水でぬかるんだ登山道を登り始めるので防水性の高い
靴をお勧めする。霧来沢の清流が夏でも涼を感じさせる。八乙女の滝の巻き道に
は急な鎖場があるので慎重に降りたい。鎖場を過ぎ霧来沢沿いの緩やかな登りの
途中、八丁洗板と命名された美しい滑底が見られる。鞍掛沢を渡ると次第に沢か
ら離れ20分程すると尾根を目指す急登となる。徐々に沢の瀬音も聞こえなくな
る。
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ブナを初めとする大木の美しい根張りを見ながら、胸を突くような急登に
汗を絞られるが着実に高度を稼げるのが嬉しい。1時間ほど登ると杉山ヶ
崎に到着する。ここから先は北側にコースを大きく変える。左前方に迫っ
てくる前岳の険峻なスラブが感動的である。熊打場を超えると鎖場がある
ので慎重に岩肌を登っていく。登りきった辺りの眺めもよく南側に日尊の
倉山や貉ヶ森山がよくみえる。暫くすると指道標があり左へ入ると直ぐに
避難小屋(管理舎)が建っている。昭和57年に会津高校山岳部OBが中
心となって建てたもので、ストーブや布団まで常備されている。二階建と
なっており雪で一階が使えない冬場は二階の窓から出入りする。小屋から
200m程の所には水場もある。
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避難小屋から山頂までは15分程。山頂直下には社があり中に伊佐須美神社の御札が
入れてあった。山頂は狭いが御神楽岳本峰がある北側を除いては遥か遠くまで眺望が
開ける。
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本名御神楽から御神楽岳(1386m)までは50分程で行けるので時間と体力に余
裕があればぜひ寄っていただきたい。こちらの方が120m程高く、本名御神楽とは
雰囲気も微妙に異なる。日本二百名山そして東北百名山に選定されている。
本名御神楽〜御神楽岳までの登山道
は時期によっては藪漕ぎとなる場合があります。また谷側に足を滑らすと大変危険な
箇所もありますので十分注意して通行してください。
[ 参考 ] 祭祀を充実させたと伝えられている崇神(すじん)天皇の時代である崇
神10年(前88年)に東北地方の巡撫の旅に出た将軍・大彦命父子が
この地で無事に再会を果たしたとき、御神楽岳に二神を祀ったのが伊佐
須美神社の始まりとされる。現在、伊佐須美神社は会津高田町に座して
いるが、その昔、ここ御神楽岳の山頂から博士山に遷座、さらに明神ヶ
岳に遷座、さらに欽明13年(552年)に会津高田に遷座、そして欽
明21年(560年)に現在の場所に落ち着いたと云われる。
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9月下旬、尾根〜山頂にかけてナナカマドの赤い実が目立つ。イワカガミも一部だが真っ赤に紅葉し、
赤と緑のクリスマスカラーが美しい。山頂付近にはコメツツジが小さな白い花を咲かせていた。
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